力がぬける言葉

 緊急事態宣言が出てから、不要不急の外出は控えていて、休みの日は家で家の整備などをしていることが多い。通常は高齢者と私の3人なので、ひっそりとしたものである。

 

 昨夜、夕方洗濯物を取り込んでいる時、本を読んでいた母が、「本をあっという間に読んでしまい、読む本がなくなる」と呟いたので、散歩もかねて図書館に行くことはよいことだよ、という話をした。その後の言葉を聞いて、「カクっ」とした。

 

 「今が、人生で最良の時だよ」。なぜかそう呟いた。

 

 特別なことはしていないし、我が家は他の家と比べても慎ましい生活をおくっている。介護施設に行くのは絶対に嫌だと言い張って、まぁ本人たちも、まだ不自由がないようなので、普通に家にいるのは、確かに幸せなのかもしれないが、近親者で最も弱い立場の人からその言葉が聞かれて、なぜか力が抜けた。嬉しかったのはもちろんだけれど。

 

 最も身近な人が幸福だと思っていてくれているということは大切だ。私の側にいる人が平和であれば、少しずつそれは広がっていくのだろうから。