資生堂の構造改革

 資生堂がコロナ禍中での化粧品受容の急減による事業悪化を受け、不採算部門を切り離すことを決めたそうだ。縮小均衡をとった形だが「完全復活」に向けてはなお課題があるそうだ。今回の措置は「止血」。

 

 化粧品業界は激しい競争業界。いわゆるレッドオーシャンだ。そしてブランド戦略がいかに難しいかを物語っている。ブランドはもともとはグランメゾン等での長く続く伝統品などが人々の高評価を得続けることで刻まれていく信用。ウォルトディズニーの名言でもある。それを人間の狡知で取り扱おうとすると火傷をおう。コスメやアパレルは、そういう難しさの中にいる。以下大切な試算的考察を抜粋しておきたい。

 

「ROICを稼ぐ力や収益性を表す「売上高営業利益率」(税引き後)と、投じた資金からどれだけ効率的に売上高を生んだかの効率性を表す「投下資本回転率」に分解する。営業利益率は18年12月期の6%から19年12月期は8%に伸びたのに対し、投下資本回転率は2.1回から1.8回に低下していた。

20年12月期はコロナ禍で売り上げが急減し、ROICが1.3%と前の期から11.6ポイントも低下した。一連の構造改革の効果もあり、21年1~6月期の投下資本と前期並みの税率で試算すると、21年12月期のROICは少なくとも2%台まで改善する見通しだ。

それでも23年12月期に目標とするROIC14%への道のりは遠い。課題は売上高営業利益率の回復だ。3カ年の中期計画で明らかになっている具体的な増収策は中国での売上高を少なくとも1.5倍に増やすというものだ。19年の地域別売上高は日本38%、中国19%だったが、23年には中国が日本に匹敵する規模になると見込む。」

 

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