火の用心

・本日朝方、母が台所からほんの少し目を離した瞬間に、油に火がうつり、あやうく火事になるところでした。スプレー式の消火缶を近くにおいていたことと、家族全員が家にいたため、ことなきを得ました。冬場はまた火事が多くなる季節でもあります。年末年始に向かい、火の元には本当に気をつけましょう。とても怖かったです。

・人間は老年期になると、耳は遠くなり、そのため話し声も常に怒号にちかくなったり、また意識していても物忘れがひどくなるものですね。1970年代にヴォーヴォワールは人間が衰えていくことを実存の揺らぎとしてとらえ、それを描き、社会分析を交えながら『老い』を執筆しました。私自身はそれを以前は文献上の知識として、現在は日常的な知識として体験しています。様々な意味で実感が湧きます。もちろん自分の「老い」を射中に入れるには、まだまだだ時間がかかるでしょう。『老い』にも書かれていたことですが、老いたとしても無理に日常の生活習慣を変える必要も、とりたててないことは明らかです。できることと、やりたいこと、もうできないことは、本人が意識せずに選択しているようにも見えます。母は年をとっていますが、元気なのでいつも台所に立っています(あ、私も立ちますよ、念のため)。真っ黒になった台所を掃除して綺麗になった後の、母の安心した顔を見ていて、ああ、火事にならなくて本当によかったなと思いました。