コロナ患者に生体肺移植

 京大病院がコロナ感染患者で肺がほぼ機能しなくなった患者に健康な人の肺の一部を移植する生体肺移植手術を世界で初めて実施したと発表した。

 

 今回の執刀医伊達洋至教授は「対象患者は限定されるが、生体肺移植は新型コロナで重い肺障害を起こした患者に希望のある治療法となりうる」と話す。倫理学者の有馬氏は「移植が必要な患者の家族にとっては『肺を提供すれば助かる』というプレッシャーにもなる。意に反した提供がないよう十分な配慮が求められる」と注意喚起を忘れなかった。

 

 ここで再度浮上してきたのは古くて新しい「脳死提供」の議論。執刀医とそれを支えた家族の決断は素晴らしい。さらに倫理学者の有馬氏の提言にも耳を傾け、自分自身に起こり得る事柄としてこれを受けよう。

 

 蛇足だが、有馬氏は知人。日本で未知数の研究を行い、かつ古典的議論についての著書もあるまだ若い方だ。ひとつの事柄から幾ばくかの光を見出していこう。

 

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