哀悼、山崎正和氏

 山崎正和氏が亡くなった。とかく世阿弥が代表作として紙面につづられるが、批評家としての文章が読みやすく、大変に心惹かれた。学生時代に読んだ『演技する精神』は、家の本棚を探せば、すぐに見つかる場所にある。多くを読んだ読者ではないが、文章の分かりやすさ、的確さは言葉をの芸術でもある演劇という分野が生みだしたものであったのだろう。『柔らかな個人主義の誕生』周辺に書かれたものをよく読んだようだ。世阿弥を身近かに感じることができたのも山崎氏のおかげだと思う。本当の教養を伝えてくれた人だ。哀悼の意を表します。