断章

このように死が隔離された結果、私たちが死にゆく人々に直接ふれる機会はまれになってしまった。また寿命が延びたので死を経験することもはるかに少なくなった。同時に、三世代同居の大家族は過去のものとなった。祖父母はもはや一緒に住まず、離れて住んでいるか、ナーシング・ホームに入っているので、老いてゆく姿や最期の日々に接することもない。熟年の年月を遠く離れた高齢者専用高級住宅地で過ごす夫婦も多い。また、農場や田舎に住み、人間以外の種と同じ自然のライフサイクルで生きる者は少なくなった。死は人生のよそ者となり、自然に反する恐怖の対象で、日ごろは見かけない侵入者となってしまったのである。